Schneehase~雪うさぎ
身代わり王子にご用心番外編
『ふむ』
祖父は出された菓子を食べきると、違う味も試したいとのことだったが。
『お祖父様、血糖値は大丈夫なのですか?』
『たまにはいいじゃろ。息抜きくらいせねば疲れきって逆に効率が落ちる』
お祖父様のわがままもなかなか珍しいし、仰る通りにたまには好きなように振る舞う時間は必要だ。私は侍女に指示をすると買ったすべての味を少量ずつ皿に分けて祖父に提供した。
『うむ、これは緑茶とよく合うのう。弥生さんの手土産で一度味わったことを思い出したが、あの時はあまり時間がなくじっくり食べられなかったのじゃ。むむ、これも美味じゃの』
上機嫌でおやつを頬張る祖父は子どものようにはしゃいでいたが、ここにいるのは身内ばかりだから気を許しているのだろう。
普段からとてつもないプレッシャーの中で多忙を極めるお祖父様だから、これほど喜んでもらえて良かったと思えた。
そして、祖父はひととおりの味を楽しんだ後にカトラリーを置き、何気なくとんでもないことを口にされた。
『さて。カイ、弥生さんから聴いてはいるが、そなたが異国の女性に懸想しているは誠か?』