Schneehase~雪うさぎ 身代わり王子にご用心番外編



挑みかかるように、祖父をまっすぐに見据える。いくら血縁があるとはいえ、現国王陛下である祖父に反対されたらひとたまりもない。


将来の国王として、王妃となる女性を選ぶのだ。易々と承諾は得られないことは百も承知の上で明かした。


血縁としての甘えは許されない。どれだけ自分が国益になる選択を出来るかが重要なのだ。


異国の一般人という点だけでかなり不利ではある。だが、たとえ猛反対をされたところで、諦める気持ちは微塵もない。


『うむ……先代の王太子に続き、異国より妃を迎えるか。貴族どもの反発は必須であるぞ?』

『もとより承知の上です。他人に勝手に伴侶を決められるよりも、私は正々堂々と最愛のひとを迎えたい。ただそれだけです。そしてそれは、これからの世界で重要な役割を担うアジアの国々との繋がりを密にする効果があります。きっとこのヴァルヌスの更なる発展に繋がるものと信じております』


ふむ、と祖父は深く頷く。


『たしかに、今後アジアの国々の存在感は増してゆくじゃろう。外交でも無視はできぬ。じゃが……』


ふ、と祖父は目を細めてとんでもない質問をしてきた。


『カイよ。その女性と、王冠と。どちらかを選べと言われたら、そなたはどちらを選択する?』


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