Schneehase~雪うさぎ 身代わり王子にご用心番外編









特殊部隊に救助された子ども達はひとまずカッツェ市内の施設に保護された。胸を撫で下ろす間もなく対応に追われて、気付けば日付が変わった深夜。宮廷の執務室で、アルベルトが机の上にあるパソコンを起動させた。


『殿下、お疲れのところ申し訳ありませんがこちらをご覧ください』


彼が表示させたのは、私が見たことがないサイト。よくよく眺めれば、どうやらインターネットによる生中継ができるものらしい。


だが、そのなかのひとつに見覚えのある画像があって、思わず眉を寄せた。


『……これは』


顎に手を当ててしばらく思案する。名前からしてアップしたのはどうやらパッシィ兄妹らしいが、なぜこんなものを? という疑問は再生してすぐに解けた。


映像は、私がベルンハルト城から出発するところから始まった。それから施設へ向かうために一路郊外を目指す。


そして――タヌキの手の者の襲撃。


どうやらカメラは二ヵ所仕掛けられていたらしく、それぞれ違う角度で見れば臨場感が違う。護衛車の故障も襲撃もつぶさに映像で配信され、おまけに施設への銃撃すらハッキリと記録されていた。


『このサイトはTwitterやYouTubeと連携しているので、リアルタイムで通知がなされたために、目撃した人間は時間を追うごとに増えたようです。つまり――一連の出来事はすべて世界中の人間に見られていたわけです』


アルベルトの報告に、私は思わず口の端が上がった。フッ、と笑って額に指を当てる。

< 229 / 391 >

この作品をシェア

pagetop