Schneehase~雪うさぎ
身代わり王子にご用心番外編
この収支報告書も、あくまで取っ掛かりにすぎない。
王室の予算は平均的な国民に比べれば確かに多い。
けれども、それはあくまでもノブレス·オブリージュ。持てる者は相応の義務を果たした上でのこと。
王族としてはまだまだ未熟な自分を自覚しているゆえに、割り当てられた予算の半分も遣う気になれない。民の貴重な税金をわがままのために、遣うのは愚の骨頂。 だから、遣わなかった予算は財政の厳しい教育·福祉·医療方面に融通するようにしていた。
自分の収支は細かな部分まで把握している。不透明な部分など一欠片もないと胸を張れるが、貴族たちはそうもいくまい。
人は楽して甘い汁を吸えるならば、いくらでも悪知恵が働くものだ。
地位を笠に着て癒着や横領などし放題の馬鹿どもも山のように存在する。
私が提出した収支報告書には一見、無関係な明細もある。
教育関連の収支報告書だ。
私が融通した予算は不足分を補うために遣われたが、本来ならば足りなくなることはあり得ないものなのだ。
つまり、馬鹿貴族どもの遣い込みによる予算不足。
義務教育の半分の予算が横流しや横領で遣い込みされたのだ。
マスコミが叩けばどれだけの埃が出るか、今から楽しみだ。