Schneehase~雪うさぎ
身代わり王子にご用心番外編
ふう、と息を吐く。
『お疲れ様でした。あれで相当な影響を及ぼすことが出来るでしょう』
アルベルトと共に戻った控え室にはアレックスが待っていて、そう声をかけられた。
長椅子に座り上着を脱ぐと、指先でネクタイを緩める。ふう、と息を吐いて背もたれに体重を預けた。
『私は、きちんと出来ただろうか』
アイボリー色の天井と小ぶりのシャンデリアを眺めながら、不安が口をついて出る。
『今、私が言葉を並べたところで慰めにすらなりません。結果はおのずと知れましょう』
アルベルトがバッサリと私の弱音を斬り捨てる。 流石に手厳しいと唸りたくなるが、確かに今は甘やかされたい訳でもない。必要なのは戦うための気概だ。
『……成果はあったようです。今晩の特番の内容変更に関する指示が急に出されたようですよ』
アレックスがインカム(無線機)を通じて妹から受けたのは、そんな情報だった。
『あなたがもっと悪辣な王子とアピールするために、様々な材料を寄せ集めているようです。スポンサーからも相当な圧力が掛かったらしいですから』
ちなみに、とアレックスは付け足す。
『番組のスポンサーは例の大手ゼネコンです。“タヌキ”の弟が会長を務めています』