Schneehase~雪うさぎ 身代わり王子にご用心番外編




『だが、やはり気分のよいものではないな。事実無根の偽りを並べ立てられるのは』


ソファのひじ掛けに腕を置き、空いた手でこめかみを押さえた。


今までのインターネットキャンペーンで、少なくとも私の人柄はある程度知られたと思う。


だが、インターネットで全てを伝えることができるかと言えば、伝達網としては重大な欠点が存在する。


それは――“公共事業でない”という点だ。


ラジオやテレビのように、受信機を設置すれば情報が入ってくる訳ではない。インターネットを使用するには任意でプロバイダーもしくは携帯会社との契約が必要で、パソコンやスマホやタブレット等のデバイスに加え、ルータ等の設置が必要。スマホならば簡単に使えるが、パソコンや無線ルータならば様々な設定の煩わしい作業もある。


現在家庭用の無線通信はWi-Fi規格で統一されているが、様々な機器を接続するのには更に費用が掛かる。働く現役世代である程度収入があれば、インターネットを利用するのはむしろ当然だろう。


しかし、全ての民がインターネットを利用しているとは考えない方がいい。事実、ブロードバンドの普及率は全世帯の6~7割程度という調査結果もある。


つまり、残る民――主に老年の世代――には効果がないということだ。


やはり、そういった世代にはテレビやラジオという昔ながらの方法を使う必要がある。インターネット世代でも、テレビの影響力はバカにできない。いや、むしろネットの口コミであっという間に情報は拡散する。


どう動くべきか、と悩んだ末にアレックスに向き直った。


『特番を放送予定のテレビ局に伝(つて)はあるか?』

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