Schneehase~雪うさぎ
身代わり王子にご用心番外編
『カイ殿下、シュトラウス公爵が国王陛下と殿下へ謁見を申し込んできておりますが』
アルベルトが淡々と伝えてきた内容は、やはりとしか言い様がない。
先ほど有力な議員の連名で事実無根であると私を非難し、その上私の方こそ濡れ衣を着せた犯罪者とありとあらゆる手段で糾弾してきた。
だが、こちらも言われっぱなしという訳にはいかない。伏せてきた情報を小出しでマスコミに流した。
マスコミの食い付きっぷりは今までの比ではなく、もっと寄越せとせっつかれたが。あくまでもリードするのはこちらだから手綱は握らせない。
その間にも関わってくる各国の首脳とも連絡を取り、事前に意思を確認しておく。
特に日本では数々の犯罪行為を実際に行なったのだから、決して言い逃れなどさせない。
ヴァルヌスだけでなく、日本の法でも裁かれるだろう。既に身柄の移送については交渉の段階に入っている。
タヌキが今さら何を喚いたところで、私の耳には入らない。意味のある音としては。
アルベルトがタヌキの“応じねば軍を動かす”という脅しまじりの要請を持ってきた時は、あまりに予想通りすぎて笑ってしまった。
『陸軍と空軍の最高司令官であられる国王陛下を無視しての強行か。軍を動かす最終決定権も意思も国王陛下にあるというのに。よほど足元をすくわれたいらしいな』
軍部へなどとうに手を回してある。陸軍の元帥もこちらに着いた。
せいぜい、井の中の蛙で大海を知らぬままゲコゲコ鳴くがいい。