Schneehase~雪うさぎ
身代わり王子にご用心番外編
2日に及ぶ戦いは幕を下ろしたが、シュトラウス公爵の逮捕はあくまでもきっかけに過ぎない。改革の一番の障害ではあったが、最大のではない。
もっと厄介なのは、これからだった。国王陛下と同等の力を持つ議会で、“過半数”という権力を振るわれてしまえば弱い。
私とアレックスが仕掛けた情報戦で、シュトラウス公爵から芋づる式に様々な犯罪者が炙り出されるだろう。
だが、それには時間が必要だった。
シュトラウス公爵を追い詰めた様なスピーディーさで次々と捕まえてしまえば、数多くの不信感を抱かせてしまうだろう。
あくまでも“マスコミがスクープする”という形を取らねばならない。たとえこちらの手の者からのリークであっても、すっぱ抜いたのはマスコミということにせねば。
国民や貴族の目をそういった情報で逸らしてる間に、警察や地検による内偵や捜査を進める。言い逃れできない決定的な証拠で固め、確実に逮捕出来るように整えておく。
議会や多数の保守派の貴族の追及をのらりくらりとかわしながら、一人、また一人と消えていただこう。逮捕は表沙汰ではなく“旅行”だの“療養”だの“入院”だのと、適当な名目をつけて姿を見せなくしてからだ。
貴族院の定員数は150人。それだけの議員が全員権力を笠に着てのさばっている訳ではないが、半数以上は何らかの不正不法行為を働いてる。浄化のための荒療治になるが、ここでひとつ大規模なリストラを敢行し、スリムにすべきだろう。無駄飯ぐらいの議員にやる金など、びた一文たりともない。