Schneehase~雪うさぎ 身代わり王子にご用心番外編
エピローグ~永遠を、きみと。



『彼女に会いにいくのじゃな』

ベルンハルト城を出ようとした途端、祖父に会ったのは何の陰謀だろう。





いよいよ願いが叶う日。昨日からの予定通りに、午後は適当な理由をつけてスケジュールを空けた。


侍従長のアルベルトには着いてこなくて良いと言ったが、お供しますと頑として譲らない。まだ桃花を認めないためのあら探しかとイラついたが、そうでないことは直ぐに知れた。


『国王陛下のご命令です。あなた様が暴走なさらぬようにと』

暴走……。シュトラウス公爵の件では相当な荒事を起こしてしまったから、それについては反論の余地がない。

それに、祖父には何故か桃花を1週間愛でたことも知られていた。アルベルトが報告してもいないのに。


そして、城を出る私に会った祖父はこう仰られた。


『カイよ、いますぐ逢いたい気持ちはよく解る。じゃが、もうしばし待て。少なくとも議会の承認を得るまでは……その為にワシが彼女と会う。身分を隠して一人の人間としてな。それからでも遅くあるまい』

『……わかりました』


逸る気持ちを抑えるのは大変だった。1年半ぶりに逢えると浮き立った気持ちが萎む。


だが、皆に祝福されるためには正式に認められる正規の手続きを踏むのが一番だ。まだるっこしくとも、後ろめたくならないため。悔いを残さないためにも。


桃花が負い目を感じない様に、私が出来る精一杯なのだから。


< 272 / 391 >

この作品をシェア

pagetop