Schneehase~雪うさぎ
身代わり王子にご用心番外編
身代わり王子の事情
「ねえねえ、カイく~ん。ボクも王子になっていい?」
「……は?」
小学校を終えた年のサマーバケーション。ヴァルヌスへ遊びに来た雅幸が、とんでもないことを言い出した。
ツヴァイリンク王家の所有する離宮で、いつも通りにマリアと雅幸と私の3人で過ごしていた時。近くの草原で子どもだけのピクニックを楽しんでいた最中、雅幸がへらへら笑いながらの発言。
私は意味が解らないと顔に出していたんだろう。雅幸はもう! と私の背中を叩いた。
「ボクだってさ~一応お母様が現国王陛下の娘である王女だもんね~。だから、れっきとした王族の血を引いてるし。カイと同じ王孫だし~。カイばっかしちやほやされるのずるいじゃん!」
下唇を突き出してくる雅幸……もうすぐ中学生なのに、ハッキリ言ってかわいくない。
「ボクも~王様やってみたいも~ん!」
バタバタと足をばたつかせる雅幸……おまえは3歳児か。
呆れながら見ていると、流石に見かねたかマリアがバシッと雅幸の頭をバスケットで殴る。
「聞き分けのないわがままを言うものじゃないの! あなただってカイがどれだけ努力しているか知らない訳じゃないでしょう」