Schneehase~雪うさぎ
身代わり王子にご用心番外編
「あんたも選びなよ、ほら。雪菜様がおごってやるって言ってんだから。遠慮すんなって」
「……遠慮も何も。私は日本の菓子についてあまり知識を持ち合わせていない。ゆえに判断基準として不適切な」
「だ~! 小難しい屁理屈並べるな。要するに“知らない”んだろ!」
髪に指を入れてぐしゃぐしゃにした雪菜は、もう! と唸りつつ、かごを床に置いた。……食品衛生上大変良くないのだが。指摘すれば破裂しそうなので、触らぬ神に祟りなしと黙っておいた。
「いい? あたしが直々にレクチャーしてあげる。ありがたく思いなさいよ」
「はぁ」
その場で強制的にしゃがみこまされると、雪菜な薄い黄色のパッケージを手に持ち説明を始めた。
「これは、うまい棒。コーンが原料でサクサク美味いんだ。あとはいろんな味が出てるし、安いから老若男女世代問わずファンが多い。で、次はこれ。チキンラーメン。これは……」
雪菜の説明は最初は話し半分に聞いていた。日本の駄菓子についての知識など、興味はなかったし持つつもりもない。無駄な時間だと苛立ちが募っていたが。
いつの間にか、雪菜の熱弁に聞き入っている私がいた。