Schneehase~雪うさぎ
身代わり王子にご用心番外編
「そう緊張なさらないでください。今日はあなた様にお願いがあってお会いしたのですから」
早速、本題を切り出した。
今までの経緯から言えば、私が彼女から警戒されるのは仕方ない。それゆえ、ストレートに話した方がいいだろうという判断だ。
「わたしに……?」
やはりと言うべきか、桃花は困惑した表情を隠そうともしなかった。何を言い出すんだコイツ、とでも思ったのだろう。今の今まで冷たくあしらいカイ王子と離そうとした張本人からの頼みなのだから。
わだかまりがあるのは百も承知。しかしながら、私は他に信頼出来る女性の民間人を知らない。
「……実は、一人の女性とお話をして……出来たら親しくして頂きたいのです」
「え……」
「ずいぶん、虫のいい話だと私自身解っております。ですが……こちらで頼れるのはあなた様だけなのです。ですからどうか……」
欧米ではあまりない習慣。宗教上そうすべき対象は唯一神へであり、人間相手にはあり得ない行為。
しかし……私は誓ったのだ。
雪菜のためならば、恥も外聞も捨て去ろうと。
「どうか……お願いいたします。雪菜の友人に……なっていただけませんでしょうか」
桃花へ向かい、頭を下げた。