Schneehase~雪うさぎ
身代わり王子にご用心番外編
桃花はじっと私を見てくる。まるで、何かを見透かすように。
以前会った時はおどおどして落ち着きなかったのに、この1年でずいぶんと変化を遂げたらしい。それは評価に値するかもしれない。
今まで自分が彼女にしてきた事を考えれば少々居心地の悪さを感じるが、それを表に出さずに彼女の視線を黙って受け止める。
「ひとつ、お訊きしてもよろしいですか?」
「はい」
桃花には私の冷徹さを晒している。ならば、今更取り繕ったところでどうにもならない。協力を頼むならば、きちんと情報を渡すつもりだ。
「……それは、あなたの大切な人ですか?」
「はい」
桃花のまっすぐな視線を受けとめながら、私は迷うことなく「Ja」と答えた。
「そうですか……わかりました」
桃花は私の答えを聞いただけなのに、ニッコリと笑って「このお話、お受けします」と快諾してくれた。
あまりにあっさりと事が上手く運び、半信半疑で彼女の顔を見る。なぜ? と目が訴えていたのだろう。桃花はにこやかにこう話す。
「あなたは嫌いなわたしを頼って頭を下げてまで、その人のために何かをしたいのでしょう?それほどまでに大切な人なら、私にできることがあれば協力したいだけです」
以前には考えられなかったちょっとした皮肉を交えつつ、桃花は思いもよらず強気な姿勢で私と相対した。