Schneehase~雪うさぎ
身代わり王子にご用心番外編
「おい、一体何がどうなってるんだ!?」
ハッと気付いたら、いつの間にか雪菜が目の前にいた。腰に手を当てて睨み付けてきている。
「突然、知らん女が話しかけてきて、あっという間に“お友達”。男性に会うならお、オシャレしろって。あたしはそんな予定も知らなかったし!あんた、一体何を企んだ!?」
おそらく、その時のやり取りを思い出したのだろう。頬が上気したように染まり、視線はあちこちをさ迷うが。ぶんぶんと頭を振って再び私を睨み付ける。
「おまえ、何を企んでやがる!? 嫌がらせだろう、これは!」
「違います」
「は?」
喚き続ける雪菜は変わらないと苦笑いしつつ、彼女の問いかけに答えるべく更に歩み寄る。彼女の手を取ると、その場で膝を着いて手の甲に唇を落とした。
ビシッ! と雪菜が固まる音が聞こえるようだ。相変わらず男性慣れしていない彼女が好ましく、膝を折ったまま見上げてにっこり笑う。
「雪菜、あなたにお会いしたかった。卑怯かもしれませんが、知り合いを通じてあなたに会わせて頂きました」
「は……へ? え??」
会いたかった? 誰が、誰に?? と混乱気味な雪菜はまったく事態を把握してない。そこに漬け込ませていただく。
「私、アルベルトが雪菜……あなたにです。そして、出来たらあなたとともに歩きたいと望んでいます」