Schneehase~雪うさぎ
身代わり王子にご用心番外編
桂木に纏わりつかれながらの一方で、桃花に会いに行く計画を立てていた。日本に来た一番の目的はそれだから、果たさねば意味がない。
けれど、外出時は警備都合上必ず侍従長の許可を得る必要があった。
内向きは一国の王子の留学という体裁を取る以上、ヴァルヌス宮廷からも何人かが着いてきた。同じマンションに住む形で、今までと変わらず私に仕える。懐妊中の乳母は流石にヴァルヌスに留まったが、代わりにその長男であるアルベルトが侍従として近侍した。
日本人の血が流れる私と違って生粋のゲルマン系である彼は、コチコチの封建的な考えを持つ。乳兄弟で幼なじみと呼べる間柄だが、一度たりとも親しみを持てたことがない。
それだから、今回の日本行きも先陣を切って猛反対してきた。祖父や乳母よりもアルベルトを説得するのに一番骨が折れたくらいだ。
ただ、アルベルトの頑固さも雅幸の腹黒さには勝てなかったらしい。
それでも彼は私の婚約者にはマリアが相応しいと未だに言い続けているのだから、私が桃花に会いに行くと知ったら何をおいても反対することは解っていた。