Schneehase~雪うさぎ 身代わり王子にご用心番外編


「任せろ!今日の食料はあたしが捕ってやる」


翌朝から、雪菜は魚を捕るぞ! と張り切って仕掛けを作っていた。例のペットボトルを使った仕掛けだ。

しかし、それでは大した釣果は期待できまいとの予想通り。何回仕掛け直してもびんどうには小さな魚しか掛からず、彼女はムムッ! と腕を組んだ。


「おかしいな~やっぱしデカイペットボトルが要るか?」

「ちゃんとした魚が欲しいのなら、釣りをすべきですよ。こちらに一式は用意してありますから」


近くに流れる川を前にして、雪菜に釣りざおを渡す。ビギナーには扱い易い長さと軽さのそれを、彼女は悔しそうに見てた。


「くそ! こうなったら負けないからな。絶対、おまえよりでっかいの釣ってやる!!」


ビシッ! と私を指差したあと、雪菜な奇声を上げながら上流へ走っていく。おそらく私より先に大物を釣り上げようとの魂胆だろうが、そう簡単にいくものでなく。


「……………」


3時間ほど後のお昼過ぎ、肩を落とした雪菜がとぼとぼと戻ってきた。


「どうしました? やはり……」

「あ゛~皆まで言うな! 悪かったよ。あたしが釣り下手だっただけ! 大口叩いてこのザマだ」


雪菜の手にしたバケツには、申し訳程度に泳ぐ小魚一匹。対して私は鱒などの体長20センチ近い川魚10匹以上。彼女はそれを見て地団駄を踏んだ。


「チクショ~ずっこいぞ! そんだけ顔がよくて身分もあって……オマケに釣りも上手って。一つくらい分けやがれ!」


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