Schneehase~雪うさぎ
身代わり王子にご用心番外編
あまりに心地よく、いつの間にか寝入ってたらしい。薄目を開けたら、フッと影が落ちて気がついた。彼女が近くにいると。
「ちっくしょ~やっぱしキレイだよな。人形みたいな造りだし……肌もめちゃくちゃキレイだ。コイツの方がよっぽどお姫様じゃないさ。悔しいよな~」
ぶつぶつと呟く内容も彼女らしくて思わず笑いそうになるが、鉄面皮と言われた無表情を保つことに注力する。これでも宮廷ではどんな相手にも表情をコントロールすることが出来る。しかし、雪菜を相手にそれがいつまで通じるか。
案の定、雪菜は予想外のことを始めた。
ちょいちょいと耳と髪の境目辺りに柔らかい感触がしてすぐ、微妙な違和感が残った。
「うん、やっぱしすっげえ似合う! コイツだったら夢の国のドレス着せてパレードに出しても違和感ないな」
何だか聞き捨てならないことが聞こえたので、私はそのままそっくりと彼女へと返した。
「ドレスならば出来ればあなたに着て頂きたいのですが」
「ひえっ!? お、起きてたのかよ!!」
飛び上がらんばかりに驚いた雪菜は、冷や汗を流しながら目が泳いでる。何をしたかと耳に触れれば、そこにあったのは見慣れた紫色の花。
……私に花を飾っていたのか。
やれやれ、と小さなため息を着いた後に思わず笑いが込み上げる。雪菜が萎れた菜っ葉のようにうなだれていたからだ。怒られると思ったからだろう。
「ありがとうございます。あなたからのお礼のプレゼント、ありがたくいただきますね」