Schneehase~雪うさぎ
身代わり王子にご用心番外編
日本にやって来て一年目の夏。ちょうど入った夏休みに、桂木からは様々な誘いを受けていた。
けれど、私が最優先にしたのは桃花との再会。出会って十年以上経つのだから、そろそろきちんと顔を合わせて話をしたい欲求が高まってた。
ただ、予想通りアルベルトから猛反対を喰らった。
「女性に個人的にお逢いする必要性などどこにありますか。そんな暇がおありになるならば、将来の国王として学ぶべきことを学びなさい」と。
まったく、こういった物言いは親子揃ってそっくりだ。
かといってアルベルトに解らないように別の名目で外出しようとしても、何やかんやで彼がぴったりと着いてくる。外出時の申請はアルベルトを通じないと許可を得られないので、全くもって厄介な仕組みだった。
いったいどこから聞き付けるのか、ちょっとした用事の外出時(例えば敷地内の郵便受けに郵便物を取りに行く程度)も着いてくるからたまらない。
これではいつまで経っても桃花に逢えない、と焦れったい思いをしていたころ。桂木から予想外の提案をされた。