Schneehase~雪うさぎ 身代わり王子にご用心番外編



仕事が終わるまで待てとお預けを喰らい、その後喫茶店で待つこと数時間。待ち合わせに現れた雪菜は、自分好みの紅茶を注文する様も堂にいったものだった。


以前、雪菜は訳がわからない苦いコーヒーが好きだったが、今は私に合わせて紅茶を飲むようになった。それだけでなく、産地や銘柄や様々な淹れ方まで勉強したのだ。その努力には頭が下がる。


そんなふうに、半年ぶりに逢う雪菜は女性としてますます魅力を高めている。

外見だけでなく内面から滲み出る自信が更に彼女を輝かせているのだろう。以前とは段違いに異性の注目を集めるのを感じて、こちらから笑顔で牽制すれば。ばつが悪そうに顔を逸らす男が多数。


自分で言うのもなんだが、自分の容姿がモデル並みに整っている自覚はある。無論、ただの自惚れではない。それらを維持し高めるための手入れや運動等の努力は欠かしたことがない。

女性にとり魅力的で男性にとって羨望の的となるこの要素は、よく理解して利用してきた。だから、私が威嚇の為に笑めば大抵の男は蹴散らせる。それでも挑発的に見返す者は、大概自惚れが過ぎる若者か、勘違いした大人の男くらいだ。


今も、見事なまでに勘違いした二匹の害虫がこちらを睨むように見ている。そちらにいらっしゃるお相手を放っておいて宜しいのでしょうか?

とはいえ、一匹なら相手の女性を陥落させれば済む話だが、二匹いるとなれば厄介だ。一匹の駆除のため席を離れれば、もう一匹が確実に雪菜に話しかけるだろう。


あのレベルで雪菜を誘惑できるといった思考が既に残念だが、同じ空間に居られるだけでも不愉快なのに、話しかけられる想像をしただけでこの場で抹消したくなる。だから、完全にスルーし一刻も早く去るべきだと判断した。


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