Schneehase~雪うさぎ
身代わり王子にご用心番外編
すぐにハッと我に返ったが、それよりも雪菜が気になり彼女の様子を見ようと視線を向ける。
「雪菜、大丈夫でした……か!?」
雪菜は無事だった、それは何よりだが。彼女はやはり“雪菜”だった。
「おほほ、ごめんあそばせ。ちょっと手が滑ってしまいましたの」
突き出した拳を開いてぶらぶらさせた雪菜は、ノックアウトされた男へ「ざまあみろですわ」と鼻で笑って見せた。
……そう。
私が拳を浴びせたとほぼ同時に、雪菜も男を殴っていたのだ。
喰らわされた二発のパンチに、男も見事にのびている。変事かと私のSPが駆けつけてきたから、大丈夫だと手で動きを制する。
「少しばかりこの男性とは話し合いが必要なようですからね」
にっこり笑って彼のお連れらしき女性とともに、ハイヤーに乗っていただく。女性は目をキラキラさせて私へ色目を使ってくるのに辟易しつつ、内心苦笑する。
無論、目を覚ました男性を含めたお二方にはきちんと誠意を持ってお話しさせていただきましたが。 最後に震えながら許してください、と真っ青な顔で土下座されたのは気のせいですよ。ええ。