Schneehase~雪うさぎ
身代わり王子にご用心番外編
「……わかってる。桃花さんに迷惑はかけないから」
「ふ~ん?」
曽我部はじ~ッとこちらを見てから、ニヤリと意味ありげな笑みを浮かべた。
「何やら、訳ありっぽそう。後で話してくれるなら、呼び出してきたげるよ」
「うっ……」
「それができなきゃあ、パス! また今度~ってなるけど。どうする?」
話せ……というのは間違いなく桃花を呼び出す理由や、彼女との関わりについてだろう。
(正直に話さないとダメか)
とは言うものの、ばか正直に全てを話す必要はないだろう。桃花の受けた仕打ちだって、彼女にすれば思い出したくもない悪夢なのだから。
曽我部の好奇心たっぷりな視線に、誤魔化して話せそうにないと観念した。
「いいや、今話すよ」
立ち上がった私は横目で護衛がいるのを確認した上で、もっと人気がない場所に歩みを進める。そして、身代わりや王族という点や桃花のされた仕打ちを除き、彼女との関わりをかいつまんで話した。
「……そうだったの。それで、桃花と話したいわけね。オッケー! それならばアタシに任せなさい」
事情を理解した曽我部は胸をポンと叩く。もともと姉御肌である彼女は、一度引き受けたら何があっても目的を遂行する。
その証拠に、一体どういう手段を使ったか知らないが、桃花をすぐそばのヤシの木の下に引っ張り出してきた。