Schneehase~雪うさぎ 身代わり王子にご用心番外編



ただ、完全に桃花に関わらなかった訳ではない。余計な虫がつかないように、と工作はした。

たぶん桃花は異性にモテないのは自分には魅力がないから、と考えていただろうけど。実際には私が妨害をしていただけ。少なからず彼女に想いを寄せる男は現れるから、定期的に排除せねばならなかった。


今思えば子どもっぽい独占欲だったが、大きな年齢差が焦りを生んでいたのだと思う。


両親を失った桃花は何とか高校だけは卒業したものの、その後は5つ離れた妹を育てる為に就職せざるを得ない。それが10年働くことになるUスーパー。となれば、私もそちらへの就職を目指すのは当然。


ただ、王子である以上高卒だなんてもっての他。仕方なく大学の政治学部に入って将来の為に学んだ後に卒業。政治学部なのになんでスーパー? とは散々言われたが、それに関しては適当にあしらってたと思う。


そして、本社での研修を経て裏で手を回したおかげで桃花がいる店への配属が叶った。


店長に新入社員として朝礼で紹介された時、桃花と目があったけれど。彼女は無関心そうにすぐに視線をよそに向ける。相変わらず自信なさげな様子に、今度こそ守ると誓う。


――約20年ぶりの、本当の意味での再会だった。



< 53 / 391 >

この作品をシェア

pagetop