Schneehase~雪うさぎ 身代わり王子にご用心番外編
君を見守って




桂木の上手い口車で桃花をこちらのマンションへ住まわせることに成功した。


やつにほぼ任せっぱなしなのも情けないが、後は俺次第だよな。と本音がダダ漏れそうになる。


(桃花と2人っきりで酔い潰れさせてアレコレしたいとか……思ってもないぞ、うん。あの真っ赤な頬が艶っぽくて、触りたいだとか。ぽってりとした唇に思う存分キスしたいだとか。赤い耳を軽く噛みたいだとか。舐めたらどんな反応するか見たいだとか。考えてない、考えてないぞ!!)


気を抜けばどんどん変態的思考になるのは許して欲しい。なにせ、20年以上想い続けた相手が手を出せる場所に無防備にいるんだ。実際に手出しできない以上、多少の妄想くらいはいいだろう。


(落ち着け、挙動不審になって変な人認定されたいか。落ち着いて……)


いる自信が無かったから、自室に逃げた。寝落ちした桃花をベッドに運ぶという美味しい役割をいただいたが、なまじっか触れてその柔らかさやぬくもりを知ってしまっては拷問だ。鼻血を出さなかっただけでも褒めて欲しい。


(じ、地獄だ……)


寝乱れた彼女を正視する勇気がなくて、部屋に逃げ帰った後にマリアから送られた雑誌を手にとる。


マリアは絶対に恋愛対象にはならないし、雑誌の記事で彼女の努力を見ていたら気を引き締められるし気分も落ち着く。貴族の血筋であるマリアは、雅幸を婿にするため相当に頑張っているんだ。


(俺も頑張らないといけないよな)


心の中で写真のマリアに互いに頑張ろう、とエールを送って夜遅く眠りに就いた。


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