Schneehase~雪うさぎ 身代わり王子にご用心番外編



つい苛立ちをぶつけてしまったのが情けない。だから、きっと怖くなってしまったのだろう。以前より桃花はオレの顔色を窺うようになってきた。


そんなギクシャクした状態で話せるのかはわからないが、もう時間がない。パーティでは2人きりになるチャンスを作って、何とか話を……と考えていたのだが。桂木との親密さを表すようなやり取りが増えて、心がざわつく。


“もしかすると桃花は桂木に惹かれてるんではないか?”――そんな疑惑を抱くには十分なほどの笑顔を、桃花は桂木に向けていた。


自業自得、だ。


オレは桂木のように優しくしてやってもないし、あれこれ気遣いも出来ないし、そつなくエスコートもできなくて。笑顔どころか悲しい顔ばかりさせてしまってる。


……こんな自分が想いを告げたところで、受け入れてくれる可能性は限りなく低いんではないか。薄々気づいていた現実が、ズシリと胸を重くする。


(……だが、それでもオレは)


桃花に、きちんと告げよう。今までの全てと、オレの気持ちを。

そこでフラれるとしても、彼女の選択なら受け入れるが……ほんのわずかな可能性があるなら、みっともなくても足掻く。彼女の気持ちが向くように努力しよう。


そう固く決意をして、葛城グループの創立記念パーティを迎えた。


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