Schneehase~雪うさぎ
身代わり王子にご用心番外編
再び起きた事件
『まったく、何を考えてるの。ちゃんと告白するどころか、こんなみっともない態度。これではよい印象など持てるはずないでしょう』
「……」
パーティーも終盤を迎えたころ。様子を見に来たマリアはこちらを見て一瞬だけ眉を寄せた後、すぐに桃花の介抱を始めたが。毒を含んだ言葉のチクチク攻撃を受けた。
『すごくいい顔をしてたから期待したのに、結局あなたはヘタレなままね。幼い子どもの頃と変わらない。本当に、政治面では有能なくせに、どうして異性に対してそんなに優柔不断なわけ?第一、気を失わせるほど嫉妬する前に彼女の話をきちんと最後まで聞いたの?』
『……言い訳などできないな』
みっともなさを通り越して、自分でも呆れる他ない。桃花がぐったりしたところで、我に返って口移しで水を与えたが。彼女はすぐに目を覚まさなかった。
『あなた、本気でモモカを想うなら、やるべきことは解っているでしょう?』
『……わかってる』
桃花の髪をすきながら、重い気持ちでマリアに答える。
わかってる。わかってるのに、どうしてこうもオレは……。
不甲斐なさに歯噛みしていると、マリアがやれやれと首を振った。
『……“カイ王子”が来日予定なのは知ってるわよね? その時、勝負を賭けなさい。わたくしもマンションにお邪魔させて頂いて、あなたを助けるから。それが最後のチャンスと思うのね』
『……ああ』
これで、桃花を手にできなければ永遠に諦める。彼女を解放しよう……そう決意をして、額に唇を落とした。