Schneehase~雪うさぎ
身代わり王子にご用心番外編
夢の中でまでマリアに叱られてしまったのは、気を引き締めろという自分への叱責だったのかもしれない。
数日前、売り場に持ち込まれた古いゲーム機。 10年前に発売されたそれは、今でも新しいバージョンが次々と発売されているかなり旧式の本体で、メーカーではもう部品がないと修理を断られたらしい。
生まれて初めて父に誕生日に買ってもらったゲーム機なんです――困り果てたらしい男の子は、涙を流しながらそう話していた。
お父さんは数年前に亡くなられたそうで、だから余計に思い出深いものをまだ使いたい。父と一緒にこのゲーム機で過ごした日々を忘れたくない。そう訴える幼い彼と父らしきプリクラが貼られたそれは、人によってはそのまま捨てられそうな汚れと傷み具合だった。
(だが……だからこそ、生き返らせたい)
亡き父との思い出が詰まった宝物。オレも父を亡くしていたからよく解る。他人から見ればボロくてゴミとなるものも、大切で手放したくない。
最近では物を捨てる、物を買わない、物をもらわないという考えがもてはやされているらしいが。それでは大切にしてきた想いや思い出まで一緒に捨ててしまってるのかもしれない。
(あの時もらった雪うさぎの南天の実を、今でも大切にしていると知ったら。桃花はどう思ってくれるんだろう)
ペンダントに入れて胸に下げているそれを、そっと服の上から触れてみる。これを明かすのは、きっと彼女がそばにいると決まった時だ。そうなるといいと願いながら、徹夜覚悟でゲーム機の修理を始めた。