生意気な年下の彼
不意打ち
 8月。
 夏休みという学生の特権を満喫──とまではいかないが、まあまあ楽しんでいる和真(かずま)は、何か飲み物をとってこようとキッチンへ向かった。
 クーラーがきいている部屋にいても、窓の外から大音量のセミの声が聞こえてくれば、汗がにじむくらいの暑さを感じる。
 
(なんか炭酸あったかな)
 
 喉ごしだけでもスッキリしたいと思いながら、キッチンにつなぐドアを開けると、和真は見慣れない光景に一瞬ドキッとした。
 
 リビングでテレビを囲んでキャーキャー騒いでいる女子が二人──姉とその友人がいたからだ。
 しかも、その友人が同じ学校の先輩であり、自分の想い人とくれば動揺は少なからず走る。
 
「あ、こんにちは。お邪魔してまーす」
「ちは」
 
 和真の存在に気づいた先輩──絵梨(えり)は、にっこりと笑い挨拶を交わすと、また視線を画面に戻した。
 
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