あなたの魂もらいに行きます。






…あれ?…






渚がおそるおそる目を開けると、死神が嬉しそうに鎌を振り回していた。






「…あれ?俺切られたんじゃ…。」


切られたと思われるあたりをなぞると傷口もなく、きれいな首筋だった。





『はい。きりましたよ?この現世から。』




当たり前のように話してくる死神に渚は疑問をぶつけた。




「えっ…さっきお前俺は死んだって…。」






『貴方は、先程までは死んだというよりは、意識がなくなってた状態だったのです。人間死んだら足がなくなります。貴方は先程足がなくなっていたので亡くなったということです。』

と死神は言った。



そして死神は後ろを指さした。
そこには終わりが見えないほど長い階段があった。


『貴方は今からあの階段の最上階まで行きなさい。登らなきゃ地縛霊となり永遠にここにいることになりますよ。さぁ早く!』


そう言うと、渚の背中をぐいぐい押し始めた。



だが渚は立ち止まった。




「いいよ。地縛霊でも。この現世にいられるなら…。」



うつむきながら渚は言った。


肩は震え、目には涙が溜まっていた。



『貴方はここに残り、人々を悲しませたいのですか??』




渚は目を見開き死神を見た。


「なぜ残ったら人々を悲しませることになるの?」


震えながら応えを求めた。





すると死神は渚の前にいき、
『地縛霊とは、死んだところに残り、生きている者を死者の世界へ誘い込む霊なのです。調べたところ貴方も誘い込まれてトラックに轢かれたのです。
あなたはそんな事したいのですか?』


と寂しそうに言った。




渚の口からでた言葉は
「…嫌だ、そんなことしたくない。」





そう言って渚は目の前の階段を
ひとつひとつ上がっていった。

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