南くんの秘密。
「だから言ったろ?合格圏に達してないって」
…ああ、そうだった。
聞いたあたしが野暮だった。
でも南君の合格圏に入るのは相当困難だよ。
だってあんな素敵なお母さんみたいな人が、少なくともこの高校の女子生徒の中にいるとは思えないもん。
あたしを含めて…
「そうだったね…」
南君に見えないようにそっと肩を落とす。
お母さんが素敵だと思えば思うほど、勝ち目のないことに落ち込むあたしがいた――…