南くんの秘密。
「本多って、南がお母さんと映画に行った現場を見た先輩の彼氏の弟なんだよ…」
これまでは表に出回ることなく、最小限のところにとどめられていたこの事実が……
どうしてこんな形で…
それにしてもひどすぎる。
見たわけでもなく、何も知りもしないくせに!
まだ南君は登校してきてない様子。
早く消さないとっ――そう思った時、
無情にも前の入り口から南君が入って来て…
シーン……
教室内が静まり返った。
このただならぬ様子に、南君も一瞬呆気にとられたような顔をした後
「蒼斗……これ……」
いつも南君とつるんでいる1人の男子が、少し引きつった顔で黒板を指さした。