南くんの秘密。
――それからは南君を取り巻く環境が、180度変わってしまった。
ヒソヒソ……
ヒソヒソ……
いつもは南君が通るたびに黄色い声で湧いていた廊下も、今やそんな声に変わって…
今まで南君に憧れの目を向けていた女の子達までが、こぞって眉を潜めてヒソヒソ話をしだす始末。
「なー蒼斗。お前まだ母ちゃんと一緒に寝てんの?」
廊下を歩いていると、すれ違う男子が笑いながらそんな声を掛けていた。
そんな彼らに目も合わせず、南君は至ってポーカーフェイスを装い通り過ぎていく。