南くんの秘密。



南君は無視を決め込んでいる。
何も反論もせず。

その分「やっぱりそうなんだ」と、女の子達はこの話を事実と捉えた様だった。

反論して欲しいとも思うけど、足掻けば足掻くほど逆効果になるということを南君は分かっているのかもしれない。

それとも、その通りだから反論する必要がないと思ってるのかな…



「佐藤も軽蔑した?」


授業中。

シャーペンをくるくる回しながら、感情のこもっていない声で南君が問いかけてきた。


「してないよ」


っていうか、否定しないんだ。


その言い方は、まるで肯定しているよう。

……自分の気持ちに嘘が吐きたくなくて、敢えて否定しないのかな……。


< 122 / 173 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop