南くんの秘密。
佐々木さん
そんなある日。
教室移動の授業が終わり、C組へ戻る最中のことだった。
みんなが脇目も振らずに教室へと戻ってい行く中、南君が1人立ち尽くし壁に向かって目を走らせていた。
「南君どうしたの?」
出遅れたあたしがその姿に気づき、同じ様に足を止め声を掛けた。
今や南君に話し掛ける女子はあまりいなくなった。
マザコンという噂はあっという間に校内を駆け巡り、それに引いてしまったのは男子よりも女子。
またそれを直に冷やかせる様なタイプでもないことから、遠巻きに眺める様な感じになってしまっていたのだ。
ここは生徒の作品が展示されるギャラリーにもなっている所で、そこには2年生が書いたと思われる絵画が所狭しと飾ってあった。