南くんの秘密。
「南君、絵好きなの?」
自分の作品はこの中にはない。
あたしなら間違いなくスル―しちゃうのに、足を止めてまで見入っている彼。
よほど絵が好きなんだろうと思い、絵の良さが分からないながらもあたしもその絵に見入った。
でもすぐに飽きて、南君の顔に。
「いや、そうじゃないけど……」
ようやく答えてくれた南君の口調は曖昧で、その目も確かに絵を見ているというより、何かを探す様に素早く左右上下に動かされていた。
「なぁ佐藤……」
それと同時に少し開かれた口。
「なぁに?」
何の気なしにその問いかけに答えるあたし。