南くんの秘密。



「もしかしたら、3年生の間違いかもよ…」


ああ。

こんなえせフォローを入れているようじゃ、ますますカミングアウトなんて出来っこない。

どんどんドツボにハマってく気がする。


「そうかなぁ」


南君の頭の中はもう“佐々木さん”一色という感じだ。

あたしも人のこと言えないけど、南君は最近ボーっとしていて心ここにあらずという状態が続いている気がする。


それはマザコンだと陰で囁かれ、女の子からの人気が低下していることが原因なんかじゃない。

むしろ初めからそんなこと全く気にも留めてない様子。


理由は唯一つ。

佐々木さんの謎が解明出来ないからだね…


だからそれと同じように、あたしの心も日を追うごとに重くなって行った。


< 140 / 173 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop