南くんの秘密。



ガト―ショコラの焼き時間は40分程度。

試食の時間を入れても余裕だ。


1分1秒でも惜しいため、いつも学校が終わるとすぐにやってきて遅くても6時15分までにはこの家を出る様にしていた。


「本当にこんなもので良かったの?蒼斗は確かにこれなら好んで食べてくれるけど、佐々木さんの彼氏さんのお口に合うかどうか…」

「彼氏じゃないですよ」

「あら、そうなの?」

「はい。これ持って告白しようと思います…」


あたしは決意を口にした。

振られるのは目に見えてるけど。


「まぁ…そんな大事な時のプレゼントに…でも嬉しいわ。お役に立てて」


にっこりほほ笑むお母さんに、あたしも微笑み返した。


「いえ、こちらこそありがとうございました」

「頑張ってね。想いが通じることを祈ってるわ」


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