南くんの秘密。
隣で笑いをかみ殺している美帆は無視して。
「いっ、行ってきます」
完璧に格好が整ったところで、あたしはオレンジ片手に3番レジへ向かった。
夕方のこの時間帯は結構お客さんがいて、レジは混んでいた。
あたしまでは後3番目。
ドキドキ……向こうにはあたしの意図なんて分かるわけないのに、無駄に緊張して冷や汗まで浮かんでくる。
なんたってあの南君のお母様なんだから。
南君が、た・ぶ・ん、大好きなお母様……
そして
「いらっしゃいませ~」
いよいよあたしの番になり、お母さんのにこやかなスマイルがあたしに向けられた。