南くんの秘密。
電話の向こうで息巻く美帆に、あたしは「もっともです」と何度も繰り返した。
『せいぜいお母さんと仲良くしてなさい!』
ピッ…
美帆は捨て台詞を残すと携帯を切ってしまった。
あたしは激しく落ち込んだ。
あーあー。
何のために今までやって来たんだろう。
レジ越しに会話をして、南君と同じ高校の女の子だって分かって会話が弾んで。
美帆の言うとおり、そこから南君にも話が伝わって…
それがシナリオだったのに。
あたしだって分かってたよ。
けど突然家に行くという、過程のいくつかをすっとばす…というか、全く想定していなかった出来事に
つい、下心を隠そうと咄嗟に吐いてしまった嘘。