ナイト!



見入って仕舞えば時間なんてあっという間に過ぎてゆく。



最後に大きな花火が上がると、元の夜の光景に戻る。



花火は、ほんと一瞬だな。


まるであの時のあたしのようだ。



「あーあ、終わったなあ…」

「マサって、柄じゃないけど、花火好きなの?」

「はっ、バカ言え。花火っつったら、夏だろ。花火大会終わると夏が終わるって感じがするんだよ」

「なんか、意外」

「おめぇにはわからねえ境遇だろうけどな」


そう言ってマサは戻っていき、仁くんと順平くんも続く。




「……どういう意味?」



マサの言う境遇って、なんなの…。



それに答えてくれたのは吹雪くんだった。




「きっと、残された時間のことだと思うよ」

「時間?」




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