ナイト!
「まあ、深くは聞かないけど」
「……茅野くんってさ、案外優しいよね」
「案外は余計だろ」
「ごめん…」
「たぶん、七瀬さんほどではないけど、俺も似たような感じだから」
「え?」
「俺が生まれる前に、一人の男に生涯をかけて尽くさなきゃいけない、そんな決まりを親が作ったから、俺も自由な人生じゃない」
「……………」
「それを小学校の低学年の頃にハッキリと理解したから、俺なりの自由を探して過ごしてる」
「今は自由じゃないの?」
「いや、今は昔ほど干渉されなくなった。あっちの環境が変わったから」
「そっか…」
あたしは、いま、自由なんだろうか。
気づいたら後戻りできない地位にいて、そこから抜け出そうとしたら、また引き戻され、
反抗することを諦めた。