ナイト!
南雲くんが理事長室に入るのを見届けた後、また校内を回る。
本当はあのまま理事長室にいるつもりだったけど、あのことがあったからマサと会うのは気まずくて、どうしても扉の奥に入る勇気がなかった。
怖かった。
ただ、単純に。
悪意は…なかったはず。
今まで数えきれないほど多くの人を見てきたから、人の顔色を伺うことはごく自然に身についている。
あの時のマサには、本当に悪意だけは感じられなかった。
怖くはあったけど…。
でも、南雲くんだけは本当にわからない。
顔色を全く変えない。
顔色を変えずに、優しさ怖さもどちらも兼ね備えている。
「はぁ…」
ダメだ、あたし。