ナイト!
「凛様、この度は我がホテルにお越しいただき誠にありがとうございます」
「頭をお上げください、総支配人。本日は学生として来たまでのこと。変に緊張されなくても」
「もしこちらに不手際がありましたらすぐお声掛けください」
「はい。あと…今日はあたしが歩いていても誰も頭を下げないようにスタッフ一同にお伝えください。身の上はまだ誰にも知られていないので」
「かしこまりました」
ーーパタン
静かに閉まった扉を見る。
「はぁ…」
「このホテル内で凛お嬢様のことを知らない人間なんていませんからね」
「わかってるわよ…」
一応、ここのオーナーであることに変わりはないし。
「じゃあ、行ってくる」
ショルダーバッグに財布と携帯、あと旅行の冊子とこのホテルのパンフレット。