ナイト!
「凛ちゃんは、こういうの興味ある?」
「あ、うん…まぁ多少なりとは…」
興味はないけれど、昔の習慣を思い出してしまう。
昔っていってもさほど昔ではなくて、紫苑学院に来る前までのことだけど。
前の学校ーー白零(はくれい)女学院にいた頃は美術品を鑑賞することも授業に含まれていた。
物の良し悪しを見極め、その意味を理解すること、それを瞬時に判断しなければならない。
あそこは、奥方様を育てる場所。
自由のない場所。
「まぁ、マサほどでもないけど、私たちも興味はないわよね」
「別に見なくてもいい」
女装姿だから女言葉で話す吹雪くんに同調する仁くん。
この人たちもか…。
「結衣は?」
「見ても見なくても減るもんじゃないな」
あなたもですか…。