ナイト!
「というか、すごく意外だったんだけど」
「ん?」
「あんたが泳げないこと」
「あぁ…」
「文武両道ってわけじゃないんだな」
「まさか。無理でしょ、あの学校じゃ」
「そうか、白零だからか」
そう。白零だからだよ。
あたしは幼稚舎から白零に通ってる。
そんな白零が、プールで泳ぐなんて、人に体を見せるなんて、そんなことをさせるわけない。
うちのホテルのプールは、お客様用だから、いくらあたしでも使うことはできない。
小さい時に東雲の別荘にあるプールに入ったことあるけど、もちろん浮き輪をつけて。
それだって、10年以上前のことだ。
「紫苑にきて、白零との違いを思い知らされる」
あそこは、本当に、特別な学校だった。