ナイト!



「でも、珍しいね。お姉ちゃんがこんなに関係続けてるなんて」



少なくとも、お姉ちゃんは何ヶ月も同じ男と関係を続けるような人ではない。


好きでもない人でもあれば、身バレする可能性を最小限に抑えるためでもある。



「だってさ、親の愛情に飢えてたんだもの」

「…………」

「吹雪ってさ、母親は小さい時に亡くなってた、女装を始めたきっかけは、忙しい父親に振り向いてもらうため、らしいのよ」

「…………」

「あたしらはさ、どんなに親が忙しくても、ものすごく愛情が溢れてるのを知ってるじゃん」

「…まぁ」

「ウザイくらいの愛情をね」

「誕生日のプレゼント、毎年部屋に入りきらないもん…」

「そうそう。だからさ、吹雪みたいに必死で親に振り向いてもらいたいって思う気持ちに、母性本能が芽生えるというか、なんというか…」

「放っておかない、と?」

「まあ、そういうことかな」



< 277 / 574 >

この作品をシェア

pagetop