ナイト!
ーーーこの縁談、破棄してもらってもいいですか?
普段は頼りなさそうな背中で、弱腰なのに、はっきりと凛ちゃんはそう言った。
わけもわからず、何も言わずに走る凛ちゃんの後ろを追った先。
そこには見知った顔があった。
「おや、どういうことかね?君たちが入ってきてはいけない場所だよ」
赤崎真衣の父親でもある赤崎グループの社長が、そう言う。
それは凛ちゃん含め、後を追ってきた僕たちへも向けられた言葉だ。
だけどそう言われるのは当たり前で、僕たちがこういう場所に来るのはお門違いだ。
「南雲さん、これは?」
「すいません…赤崎さん。七瀬さんだったかな?これは一体…」
「この縁談を取りやめてもらえないでしょうか?」
「おい、君っ!」
「代わりに、あたしとの婚約をお申し付けたいと思います」
「君っ!!」