ナイト!
僕達はただ、結衣のお父さんと坂口さんとの会話に耳を傾けるだけだった。
話が全くついていけない。
だけどわかったのは、凛ちゃんはとんでもなく大物であったこと。
凛ちゃんはどこの誰よりも、手の届かない存在であったこと。
「君たちもごめんね、巻き込んでしまって」
結衣のお父さんが僕達の方へ顔を向け、申し訳なさそうに話す。
「いえ、俺たちはただついて着ただけっすから」
「ほんと、いつも結衣をありがとう」
結衣のお父さんは、あの厳格な家柄である南雲家の人間とは思えないほど優しい人だ。
結衣の合間合間に見える優しさは、父親譲りなのかもしれない。