ナイト!
「日本で成功するのは難しい」
ん…?
唐突に話しだした彼は、言葉を続けた。
「俺が今から日本だけで成功させるのは難しいとは思う。けれど、世界はもっと難しい」
「…………」
「ただ、いろんな国のいろんな文化があって、自分の見ている世界が広がる」
「…………」
「凛の男なら、俺達と同じ土俵に立って成功してみせろ」
それだけを言って、彼は扉の向こう側へと消えていった。
「…結衣」
「つまりはあれだろ。世界に出ろと、だろ」
「南雲が世界に?」
「凛ちゃんと同じ土俵ってことだよね」
「結衣」
ソファーに座ったまま、身動きせず。
ただ、結衣は笑っていた。