ナイト!
「お兄ちゃんはきっと南雲くんに期待してるんだね」
「なんで?」
「だって、お兄ちゃんが声かけたんでしょう?」
「まあ、そうだけど」
「南雲くんと仲良くしたいんだよ。同じ跡取り同士として」
お兄ちゃんはあたしやお姉ちゃん以上の重圧がかかっているのに、その姿を見せる事なく、なんでも完璧にしてしまう。
跡取りって重圧がどれほどのものかは分からないけれど、南雲くんには近いものを感じたんだと思う。
「なあ、」
「ん?」
「その、南雲くんっての辞めてくれ」
「あ…」
「名前で呼んでみろよ」
真っ直ぐな瞳で、目を離さずに。
「結衣」
だからあたしは、南雲くんの名前を呼んだ。