ナイト!




「嫌か?」

「嫌…ではないけど…」

「けど?」

「理由があるんだよね?」

「ああ…」

「聞いてもいい?」

「………」



あたしと対面に座る結衣の視線が、わずかに逸れる。



言いにくいことなのか、どうなのか。




ふぅ、と一息ついた結衣はソファーの背もたれに深く寄りかかる。


視線を合わせることなく、結衣は語り出す。





「3年上がるまではずっと、留学は考えてなくて青嵐に戻るんだろうなって思ってた」

「……………」

「だけどお前の兄貴と話して、今の俺に足りてないものと、今の南雲に足りてないものを考えたら、やっぱり世界に目を向けることなんだなって思ったから」

「……………」

「できるだけ早く、自立したい」




ーーーそんなの




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